篠田くんが、私の前でしゃがんで目線を合わせる。
そしたら、いきなり手のひらを見せて、『これ』と言ってきた。
「……?」
「絆創膏」
手のひらについていた絆創膏は、私の持ち歩いているものと同じ、果物柄のもの。
でも、オレンジ柄のものを篠田くんにあげた記憶はないんだけど…?
「……うん?」
「南からもらったんだけど、
これ、久我があげたやつなんだってな」
「あぁ、秋穂にいっぱいあげたから…」
秋穂からもらったんだ。それなら納得。
……でもそれが、なに?
「それと昔のことは関係ないような…」
「あるよ」
そう言って、篠田くんがポケットから色あせた缶ケースを取り出した。
……あ、これ。



