しばらくしたら視聴覚室に着いて、優しく椅子におろされた。




「篠田くん、お弁当持ってきてない…」



「後でいい。
先に話がしたい」




椅子に座っている私の目の前に立って、篠田くんは私を見下ろした。




「篠田く…ひゃっ!」




篠田くんの指が、私の前髪を分ける。




「あ…の、」



「………」




されるがままになって、どうしたらいいのかわからずに固まっていると、



篠田くんが私の額に、ちゅっ、とキスをした。




「……!!?!?」




な、ナニシテンスカ!!?



パニックになって、顔を真っ赤にしながら額を隠した。




「し、しし篠田くん…っ、
なにを…!!」



「危ないこと…しただろ。
その傷…」



「これは…その」



「俺を助けるために、
危ないことした(あと)だろ?」




篠田くんが真っ直ぐに見つめてきて、私は目を見開いた。



……え…まさか篠田くん、



私があの時の女だって…知っているの?