* * *
教室に戻ると、南が深刻そうな顔をして席に座っていた。
……あれ?
「南」
「…わ!
どうしたの篠田くん!」
「そんなビビんなくても…」
南から視線を外し、久我の席を見ながら南に問いかけた。
「久我のカバン、なんでなくなってる?」
「……桃、早退したって」
「教室に来たのか?」
「ううん、立花先輩が取りに来たの」
……なんで、大雅くんが久我のカバンを?
「久我…体調でも悪いのか?」
「……わかんない。
詳しいことは先輩に聞いてみた方が…」
「あぁ。
じゃあ大雅くん探しに行ってくる」
「え!今から!?」
南が『もう授業始まるよ!?』と言ってきたけど、無視して教室を出た。
……大雅くん、また屋上にいるかな。



