俺に会うことで、思い出して、つらい思いをさせるのなら…
……会わないままの方がいいのかもしれない。
「……」
「仁、理解した?」
「そう…だな」
「じゃあ「でも百華とはもう付き合えない」
百華の、期待したような表情が、
俺の言葉で、一瞬で崩れた。
「どうして…!」
怒りをあらわにした表情で、俺の腕を掴んでくる。
俺はまた、思い切り押しのける。
「触るな」
「…どうして…」
「二度と近付くな。
次は殴る」
呆然と立ったままの百華を放って、空き教室を出る。
……体が勝手に、百華を拒絶していた。
俺はもう、百華には触れられない。
百華はもう、俺の“特別”なんかじゃない。



