百華を鋭く睨むと



百華が眉をさげ、目を逸らした。




「……仁の言う通り、それはわたしのじゃない」



「……昔会ったことがあるって言ったのは」



「嘘よ。
そう言えば、仁と付き合えると思ったから」




……バカな俺。



ずっとその嘘に気付かなかったのかよ。




「仁が告白を断り続けているのは知っていた。
探している女の子がいるというのも、噂で聞いていた。
毎回、告白してきた女の子に名前を聞くのも引っかかってた。
だから仁が、わたしの名前を聞いて『昔会ったことがあるか』と聞いてきた時、
わたしが“仁の探している女の子”になってやろうと思ったのよ…」



「……騙してたのか」



「騙してでも、仁の隣にいたかった」