缶ケースの中身を確認すると、絆創膏が入ってる。
果物柄の、絆創膏が。
「あぁ…それ、絆創膏が入ってたものだったっけ?忘れてたわ…」
「百華」
「なに?」
「もう嘘つくの、やめろ。
お前は、俺を助けてくれた女の子じゃない」
俺がそう言うと、百華の眉間にぐっとシワが寄った。
俺は渡された缶ケースを、大事にぎゅっと握る。
「これは、本当の持ち主に返す」
「本当のって…わたしよ!
その缶ケースには、“momo”って名前が書いてあるでしょ!?
それはわたしのよ!」
「違う。お前じゃない。
俺はずっと、お前だと思ってたけど、違ったんだ」
あの日、助けてくれた女の子がくれた、絆創膏が入った缶ケース。
そのケースの底に、“momo”って書いてあることだけを頼りに、俺はずっとあの女の子を探していた。



