「ごめんね」と謝る先輩が、
ピアスを顔の前に見せつけてきた。
「……ごめんとは思うけど、
一応確認がしたい。
桃奈ちゃん、
このピアス、どこかで見たことない?」
先輩の質問に、
目を見開いた。
「そうなんですよね。
ずっと、どこかで見たことあるなって思って…て…」
ピアスを見せながら、先輩がもう片方の手で私の額に触れた。
「この傷、いつ付いたもの?」
「これは…中学3年の時に…」
「なにしてついたもの?」
「……高校生のヤンキーとケンカ…みたいなことをしたんです。
それで…その人がつけていた腕時計で、ガッと…」
当時のことを思い出すと、少し傷が疼くような気がした。



