あの人はサボるならきっと、あそこだろう。
階段をのぼって、現れた扉を開くと
そこに、風でふわふわと髪を揺らして座っている、立花先輩がいた。
「……先輩」
「あれ、桃奈ちゃん」
いきなり現れた私に、先輩がびっくりしたように私を見た。
「もう授業始まるよ」
「サボるので」
「やだ、桃奈ちゃんは不良にならないでほしかったな」
ふっ、と笑って、先輩が『おいで』と手招きした。
「どうしたの、授業サボってまで俺に会いに来て」
「……話があって」
「授業サボってまでする話?」
「……と言われると、そうでもない気もするんですけど…」
「ははっ、ごめんね、意地悪言った」



