盗み聞きは良くないと思ってそそくさとその場を立ち去る。



教室に向かう途中で、不良の先輩が何人か、廊下で(たむろ)しているところに出くわした。



……あそこは通らない方がいいな。遠回りしよう。



そう思って、来た道を戻ろうとしたら。




「篠田まじうぜー」




不良の先輩たちの会話が入ってきて、思わず足を止めた。




「調子乗ってるよな。
あの美月百華ちゃんまで自分のものみたいな顔してて」



「なー」




先輩たちが話してるの、篠田くんのことだ…。




「今度、やっちまうか」




や、やるって…!



ふと、さっき見た、篠田くんの傷を思い出した。



絶対、ケンカだ…!!



ここは同級生として、止めに行くべき?



でも、何を言えばいいのか…。



代わりに私が殴られる可能性も…あぁ怖い!



篠田くんから殴られるのは回避出来たんだから、



わざわざこんなことに首を突っ込んで、殴られにいかなくてもいい。