教室に入り、自分の席に着くと、まわりの視線が突き刺さる。
俺が教室にいるのが珍しいのか、それともいてほしくないのか。
どちらの意味だとしても、こういう視線が向けられるのは良い気がしない。
だから教室は居心地が悪くて嫌いだ。
……それでも最近は、そう思うばかりではない。
「秋穂ー!
数学今日あたる…!教えて…!」
「やばいじゃん!
あたしもわかんない!」
「秋穂〜…」
前の席の、久我。
最近話すようになったが、久我は本当に不思議な子。
百華と同じように、全く拒絶反応を起こさない。
……だからなのか、
この間、びしょ濡れになっていた久我を見つけた時、
自分から声をかけてしまった。



