そう言って、百華が俺の手を握ろうとした時。



その伸びてきた手を拒むように、バッと手を振り払った。




「……っ!」



「仁…本当にどうしたの?」



「いや…疲れてんのかな…悪い」




手を引っ込める百華は悲しそうな顔をする。



なんで…。



俺、今…



百華を、拒絶した…?




「悪い…ほんと、今、変なんだと思う、俺。
ちゃんと寝て、元気になるから」



「うん…。
ゆっくり休んでね…」




悲しそうなのに、無理やり笑顔を作って教室に戻っていく百華。



……他人に近寄られたり、触れられたりすると拒絶してしまうのは、俺にとっては普通の反応。



でも……百華だけは平気だったんだ。



近付かれたりすると気付くけど、拒絶することなんて今までなかった。