「……仁?」




突然肩を掴んで距離をとった俺に、百華が心配そうに声をかけてくる。




「百華。
百華は……俺のこと好きか?」



「あたりまえよ。
わたしから告白したんだもの。
仁がほしくてたまらない」



「……俺といて、幸せか?」



「あたりまえじゃない」




頰を赤く染め、嬉しそうに笑う百華が、嘘をついているようには見えない。



……なのにどうして、



あの夢の中の女の子は、許してくれないんだ。




「仁…どうしたの?
なにか、変」



「……最近、寝不足なんだ。
あまり体調が良くないのかも」



「また視聴覚室で寝たらどう?
仁、あそこではよく眠れるんじゃない?」