「ねぇ仁、聞いてる?」



「……あぁ…悪い、聞いてなかった」




学校に着いて大雅くんと別れた後、



百華のクラスまで行き、百華と2人であまり人が通らない場所に移動してきた。



どうやら、俺がしばらく休んでたこともあって、百華は話したいことがたくさんあるらしい…が



俺は……今はそれを耳に入れる気力がない。




「考え事?
なんか悩みでもあるの?」



「悩みっていうか…」



「ふふ、聞くだけ無駄だね。
仁はこうすればすぐ元気になるもの」




百華は妖艶な笑みを浮かべると、



俺の首に手をまわし、背伸びをする。



初めてではない、もう何度も経験したこの状況。



百華の柔らかい唇が、俺の唇にぶつかる。



百華がもっと求めるように腕に力を入れ、首を傾ける。それも、いつものこと。



そうだ。俺は、いつもこれが、幸せだ。



……キミも俺を求めてくれている。



なぁ……。



百華は、幸せじゃないのか?