「……先輩の言う通り、
嫌いなままだったら、
迷惑かけてもなんとも思ってなかったかもしれないです」
「うん、それで?」
「……それで、とは?」
「今、桃奈ちゃんは、
仁のことどう思ってるの?」
どう…思って。
その時、頭によぎった言葉を、否定するように首を振った。
「……嫌われたくないって、思ってます」
「本当にそれだけ?」
飲み込んだ言葉を吐き出させるように、立花先輩の突き刺すような視線が向けられる。
……怖い。
でも、この言葉を、絶対に口にしてはいけない。
「それだけです」
「……そっか」
立花先輩は視線を下に向けると、私の横を通り過ぎて階段をおりていった。
……怖い顔したり、嬉しそうな顔したり、
立花先輩の望みは…一体なんなんだろう。