屋上に向かって階段を上っていると。
「大雅くん、なんか上着持ってない?」
「カーディガンどうしたんだよ。
着てこなかったのかよ?」
「忘れてた」
「お前、ほんと変なとこで抜けてるよな」
階段の上からそんな会話が聞こえて、隠れるようにその場でしゃがんだ。
篠田くんと、立花先輩の声だ。
篠田くんも、私と同じように立花先輩に相談しに来たんだ…。
やっぱり、寒いよね。
せめて、私のせいだって言ってくれればいいのに。
どうして、私を責めないの?
篠田くんが優しくて、こっちが申し訳なくなってしまう…。
ごめんね…。



