何故父さん母さんが死んだのかは、誰に聞いても教えてはくれなかった


緋織が消えて、独りになった俺を引き取ってくれた親戚のさくらさんも、警察官ですら


「何故父さん母さんは死んだんですか。」


そう問えば決まって


「君が知ることではないよ。」


そう返されそれ以上の追求を拒否される


両親の死去を知り、泣き叫ぶ俺を見て、緋織は嘲るように笑った


狂ったようで、泣いているような
それを見た俺は呆然としたことを覚えている


あんなに笑った緋織は、あの日初めて見たんだ
いつもは穏やかに微笑むだけだったのに


恐怖心が芽生えたのは俺だけじゃなくて、警察官もだった