がっしりと緋織の手を掴んだのは来夢だった


俺だって緋織を引き止めようと思ったのに、俺の体は言うことをきいてはくれなかったようだ


「離せ。」


緋織は睨んでくる来夢に負けじと睨みを返す


「ちょ、ちょっと来夢!!」


由紀は戸惑いながらも来夢を止めようとしている
そりゃぁ緋織と仲良くしてたんだもんな


「離せって日本語が分からないのか。」


緋織がだんだんと苛立ってきているのがわかる


「.........お願いだ。話をさせてくれよ、緋織。」


............やっと、声が出てくれた
昔よりもずっと感情のなくなった緋織に恐怖心さえ抱いた


「時間の無駄なんだよ。」


「少しだけでも、お願いだ。
あの日の真実を、教えてくれよ............!」



お願いだ。


知りたいんだ


知らなければ、前に進むことは出来ないから


緋織だけで、背負わないで欲しいんだ