太陽の笑顔、月の涙

伊織side


俺は次の日、思い切って緋織の教室に押しかけることにした。


緋織に避けられることを考えての行動だ
緋織は賢いからどういう行動をするのか予想がつかないし


そっと教室を覗けばそこには窓の外を眺める緋織の姿があった


こうやってみていると緋織は本当に美形だと思う


「緋織!!!」


名前を呼んだだけなのに。
僅かに眉をひそめる姿に少しムッとした


「お前と、話したいことがある。」


たくさん、聞きたいことがある


今までどこで何をしていたのか
どうして父さんと母さんは死んだのか
どうしてあんな手紙を置いて出ていったのか


分からないことだらけで、日織が本当に両親が死んだのかを知っているのかは分からないけど、緋織のあの日の言葉から考えるになにかを知っていると思うんだ



「............俺は話すこと何てないから。」



俺を見ようともしない冷たい目
俺とそっくりな顔なのに、何故こうも雰囲気が違うのか。 分からない。


ビー玉のような丸い瞳には、一切の光を拒否しているようだ




ガシッ




「待てよ。 伊織の話くらい聞いてやってもいいんじゃねぇの?なぁ、伊織のおにーさん?」