緋織side


最悪だ


会ってしまえば面倒ごとにしかならないと分かりきっていたはずなのに


気配を感じた時点で逃げればよかった


「緋織、会っちまったな。
これから追いかけられるんじゃねぇの?」


「............それが容易に想像できるから苛立ってんだ。 あいつはいつでも真っ直ぐだから。」


あいつなら、俺と真正面から向き合うに決まってる


だから苦しいんだ


「俺とあいつは敵同士だ。
俺はあいつを憎むことしかできないから。」



「............もう、赦してやれよ。
伊織も、自分自身も。」



そんな博樹の悲痛な願いも、緋織には届かなかった