伊織side


「家族を全て失ったよ。」


そう。きっとあの日


俺は家族も失い、もう一つ失ったものがあった


“感情”だった


今まで自分がどのように生きていたのか、分からなくなった


いつも助けてくれていた緋織も、朗らかに笑う母も、厳しい反面愛情深い父も。


俺の感情をつくっていた人たちがいなくなった


感情を生み出すことが出来なくなった俺は、
“生み出す”のではなく、“つくる”ことにしたんだ