緋織と博樹が屋上を去った後




この空間には重い空気が流れていた


「............伊織、緋織とは、どう言う関係?」


最初に口を開いたのは、由紀だった
緋織と仲良くしていたから、余計に気になるんだろうけど


「............あいつは、俺の双子の兄だ。」


兄の、筈だ


「え............? でも、兄弟いる何て言ってたっけ?」


言ったことはなかった
誰にも言っていなかった


親がいないことだけしか言っていない
なぜ親がいないのかすら、言っていない


といっても、俺だって何故親がいなくなったのかなんて、知らない



「12の頃に、いなくなったんだよ。緋織は。
手紙を残して。 親がいなくなった次の日に。」


その二日間で俺は


「家族を全て失ったよ。」