太陽の笑顔、月の涙

緋織side


充電の切れた、今はもうただの黒い板になったものを見つめる


「真実を知ることが、幸せとは言えないんだ。」


それを充電プラグにさすと、ふっと光がつく


画面にヒビの入った、このスマートフォン


微妙な位置に置かれたマイクのアイコンの
“録音アプリ”


これには、


【父さん母さんの 最期の声】 つまり遺言


それが録音されている