その日はいつもと同じようで何かが違う日だった。

『おはよう』

『おはよう、遥。早く顔を洗って、ごはん食べちゃいなさいよ』

『はーい』

眠たい目を擦りながら、なんとか洗面台まで辿り着いて、冷水を思い切り顔に引っ掛ける。

冷たい水のおかげで、今までぼんやりしてた頭は一気に覚醒して、ようやく今日1日が始まるって感じ。

『あ、お父さんおはよう』

『あぁ、遥。おはよう・・・遥』

いつもの朝の挨拶。

でも、今日の父さんは、そのあとに言い淀むように私の名前を呼んだ。

『どうしたの?』

『遥は、今日何時ごろ、帰宅するんだ?』

基本、放任主義の我が家。だから、今まで1度も何時に帰ってくるなんて、聞かれたことがない。