秋葉は否定したが、その日から友達全員から無視されるようになってしまった。やがてそれはエスカレートし、「あの子性格悪いんだよ」と悪口を言われたり、物を隠されたり、秋葉のよそった給食には誰も手をつけなくなったり、いじめへとつながっていった。

いじめに秋葉は怯えたが、家族に心配はかけられないと無理して笑うようになった。そして、自分の意見は言ってはいけないのだと学んだ。

ボロボロになり、今にも秋葉の心が壊れそうになった頃、スイスへ引っ越すことが決まった。

それからは、ずっと秋葉は自分を隠して生きている。人に合わせていればいじめられることもない。ずっとそう思って生きていたのだ。

ーーーフランツに出会うまでは。

「彼はね、きっと一人でずっといるから孤独が寂しいってことを知らないんだよ。それなのにいつも私に偉そうなことばっかり言うの!」

思い返していてふつふつと湧き上がってきた怒りを、秋葉はリヒトに話す。