男子の名前は、フランツ・ツヴィンクリ。整った顔立ちをしているが、女の子たちの話の話題になったことは一度もない男子だ。

フランツは誰とも関わりを持たない。いつも教室の隅で読書をし、一日中一人で過ごしている。口を開けば厳しい言葉ばかりなため、一部の生徒がフランツに悪口を言ったりすることもある。しかし、フランツは「だから何だ?」と返すのだ。

秋葉は高校に入学した頃から、フランツによくさっきのような言葉を言われる。しかし、秋葉は逆にフランツに言いたいのだ。「どうして一人でいることが悲しくないの?」と。



放課後、秋葉は図書室へと向かう。やっとできた自由な時間だ。

秋葉は読書が好きだ。本の世界に入り込み、夢中になれる。しかし友達の趣味は違う。友達は図書室へ足を運ぶことがないため、秋葉はみんなの予定がある時にしか行けない。

図書室の扉を開けると、秋葉は今すぐ帰りたくなった。フランツが本を読んでいる。

「なぜ挙動不審になる。もっと堂々としろ」