どうやら、私は死んでしまったらしい。すぐに状況を理解することが出来た。

道路で倒れ込んでいる私の体、泣きじゃくりながら私の体を揺さぶっている5歳ぐらいの男の子、道路の隅で目を見開きながら立ち尽くしている友達……。

私は、何でこんなに冷静でいられるのか分からない。私が生まれた意味は、死んでからある、自然とそう感じるんだ。

私は辺りをゆっくりと見渡すと、友達に近づいた。

「彩羽(いろは)……どう、して……?」

「バッカじゃないの……」

2人は、体を震わせながら消え入りそうな声で呟く。

「私は大丈夫だから、泣かないで?」

そう微笑むけど、2人は反応しない。それもそうだろう。私は、死んでいるのだから。

今の私の状態が幽霊だと考えれば、2人が反応しないのも納得が行く。

さて、どうしたもんかな……。

「お困りのようですね?」

私がその場で立ち尽くしていると、不意に後ろから声をかけられ、私は後ろを向いた。

そこには、黒いローブに身を包んだ、小柄で可愛らしい容姿の男の子が微笑んでいた。

「えっと…あなたは?」

「僕は、桃瀬 春陽(ももせ はるひ)と申します」

春陽と名乗った男の子は、笑顔を崩すことなく口を開く。