「──ねぇ、ちょっと……」

「……え?」

「いつまでこんな事してなきゃいけないの……」


 今、その格闘天使ちゃんは、俺の隣で同様にしゃがみ込み、明らかな不満顔を浮かべていた。


 ──とある公園の草むらの陰。住宅路地の前にある、街灯がぽつんとだけ点いた寂れた公園。

 落ち葉がハラハラと舞う中に佇む、滑り台とブランコ。

 そして二つ程のベンチがあるだけのこの狭い公園は、薄闇の迫る今となっては子供の声も、もはや人の気配すらない。


 その入口側にある草むらの陰に、俺と柚葉は肩を並べてしゃがみ、コソコソと公園前の通りを窺うという怪しい真似をしているのだ。

 ……そりゃ不満だし、怪訝な顔にもなる。