「…は、はい」
突然名前を呼ばれ、ぼーっとしていた私はパッと顔を上げた。
…び、びっくりした…
私を囲うようにして、いつも皆の中心で、ムードメーカー的存在の女の子達が立っていた。
…私なんかしたっけ…
突然たくさんの人達に囲まれて、思わず固まってしまう。
……あ、いつも一緒にいる5人
その瞬間、私は話しかけられた理由が分かってしまった。
民泊の班は、女子がちょうど6人のグループを作らないといけないらしい。
女の子達の後ろにある黒板に、そう分かりやすく書かれていた。
「班一緒に組まない?」
…優しさなのか、人数合わせなのか分からないけど…
……断る理由なんて、見つからない
どうせ当日、行かなければいいだけ。
「う、うんっ」
「「ありがとう~~」」
私がそう返事をすると、5人の女の子達はとても嬉しそうに、
私にたくさんありがとう、と言ってくれた。
…仲良しだもんね
一緒になれて、そんなに嬉しいんだなぁ。
私にはそんな人いないから、気持ちが分かんない。
けど、それでも皆が嬉しそうにしている姿を見て、私もなんだか嬉しい気持ちになった。
…少しは役に立てたかな
クラスの邪魔者よりは、人数合わせでもこうして役に立てる方がまだましだ。
「やった、これで5人バラバラにならないじゃんっ」
_ズキ
「………」
“痛む心に、気づかないふりをしよう”
そう心の中で呟いた後、ふっと笑った。
きっと晴日くんなら、皆に愛されているから、晴日くんの取り合いになるんじゃないかな?
ふふっと心の中で微笑んだ後、私は晴日くんをそっと遠くから見つめる。
「平等にじゃんけんだかんな!」
「おうよ!」
……なんか本気でじゃんけんしてる