「……は、はひ…?!」



いきなりの言葉に、頭が追いつかない。



「この本!!いいですよね!!」



そう言って、クールな見た目に似合わないほどキラキラした純粋な瞳で、わたしを真っ直ぐ捉えている。


…いま…このお方はなんとおっしゃったのだろうか…


この本…いい…ですよね…


この本……いいですよね


あっ!…この人いい人だ…!!



「っ!…はい!」



怖いなんて思ってすみませんでした、と心の中で謝罪する。


わたしと同じ気持ちの人がいたことが嬉しくて、思わず勢いよく返事をしてしまった。



「どこまで読みました?!」

「わ、わたしは…っ、5巻まで…!」

「あっ…すみませんっ…俺、借りてたからですよね!もう10回読んだんでどーぞ!」

「えぇぇ?!じゅ、じゅっかい?」

「はい!あ、こんなに全部…重いか」



さっきまであんなに前のめりだったのに、途端にしょんぼりする姿を見て、ふっと笑みがこぼれた。