どうして手の届かない人に恋をしてしまったんだろう。


かっこよくて、

優しくて、


笑顔が可愛くて、

皆から愛されてて、


友達思い。



晴れた空みたいに、まぶしい人。



こんなにも私と違うのに、正反対なのに、どうして恋をしてしまったんだろう。


そう思うのに、もう答えは自分で知っていた。



正反対だから惹かれた。



見つめていたくて、でも苦しくて、



好きで、好きで、

どうしようもない。


泣いてしまいそうだ。



――「…ぐすっ…ひくっ…」



……え


たしかに泣いてしまいそうだとは思ったけれど、私は泣いていない。


すすり泣くその声は、気のせいか後ろから聞こえる。



「………」



後ろ振り向く?!

えっ、誰かいたの?!


私はおそるおそるゆっくり後ろを振り返る。


「……ひっ?!」



視線の先には、クールな見た目に似合わないほどに号泣している男の人がいた。


あ、あ、こ、これは…

そのまま何も見なかったことにしていいのかな?!

それともなにか声をかけた方が…?!


どうしよう、そう思ったとき、ふと男の人の手元に見覚えのあるものを見つけた。


……あれ……は…



「…「好き」だ!!!」



男の人が俯いていた顔を上げる。



「………え」



男の人が手に持っているのは、私がずっと読みたかった「好き」の6巻だ。


この人だったんだっ