入り口らへんの席にいる女の子達の邪魔にならないように、女の子達の近くを通る瞬間だけ、歩くスピードを速めた。



「え、なにあれ。私達が来たから嫌なんですけど、みたいな態度。」


「は?まじうざ」



そんな言葉は、聞こえないふり。


……のはずだった…はずなのに…


「~~~っ」


私の中の何かの糸がプツリと切れたように、イライラが波のように押し寄せてくる。


たしかに早足になった私も悪いかもしれないけど、そんなに、うざいって連発しなくてもいいのに。



『え、なにあれ。私達が来たから嫌なんですけど、みたいな態度。』


それは……、



「……こっちのセリフだっっ」



図書室を出て、しばらく廊下を早足で歩いていた私は、ピタリと足を止めて思わず叫んだ。


もし私が今日、生理の日だったら、あの子達とケンカしていた自信がある。


もう今日はこのまま帰る。


無意識に職員室へと歩みを進めていたことに気がついて、ハッとした。


「……鍵もってないんだった」


いつもなら、朝美先生がいないときは私が図書室の戸締まりをしていたから、それがすっかり習慣になってしまっていたみたいだ。


あの女の子達が戸締まりをしてくれればいいんだけど…その可能性はちょっと低そう


朝美先生が戻ってくるなら開けっぱなしでいいと思うけど…

先生が図書室に戻ってくるか分からない。


このまま帰るのもモヤモヤしちゃうし…



うぅっ…待つ


……あの子達が出てくるまで待っていよう