「先生いる?!」
「あっいないじゃんっ……うわ、でもなんか大人しそうなの1人いるんだけど…うざ」
「ほんとだ…まぁ、いいじゃん。どうせ、なにも言ってこないでしょ」
大きな声が図書室に響いて、心臓の音が速くなった気がした。
思わず本で視界をふさいでしまう。
……なにも悪いことが起きませんように
女の子ふたりのことは、私だって別にどうでもいい。
そう思い本に視線を戻した。
思う存分ニヤニヤはできなくなってしまったけれど、ひっそりと楽しむことはできる。
私が得意なこと。
「ぎゃはははっ」
「やばいねそれ!」
そう思っていたのだけれど、考えないようにしようとそう思えば思うほど、女の子たちの声が大きく耳に届いて仕方ない。
私はなんだかその場にいるのが嫌になって、ほとんど本能的に本を棚に戻していた。
どうせなら借りたかったけど、朝美先生がいない今、勝手に持ち出すことはできない。
私の居場所…なくなっちゃうのかな
そんな不安が頭をよぎったけれど、すぐに追い払った。
きっと大丈夫。
本を読んでる様子はないし、毎日は来ないよ
また明日読めばいいんだから。
そうやって自分を励ましながら、バックを持って早足でドアの方へと向かう。



