図書室に入ると、いつものように朝美先生が出迎えてくれるはず。


それだけで心が癒やされる。



「朝美せんせい、きたよー」


いつものようにそう声をかけても、返事がない。


あれ…?


不思議に思って図書室を見渡しても、朝美先生の姿はなかった。


いつも放課後は毎日ここにいるはずなのに、どうしたんだろう。


お仕事かなぁ


いつもの席に荷物を置いて、誰もいない図書室を見てまわる。

ゆっくりと、足を進めながら。



まず初めに、恋愛漫画があるかどうかの確認。


「やっぱりないかぁ…」


まだ男の子が持っているみたいだ。



次はいつも呼んでいるミステリー小説があるところ。


「…んー…」


どれも読んだことのある本ばかりだ。

図書室に通いすぎて、もうほとんど読み尽くしてしまったらしい。


他のジャンルはまだ読んだことがない。


誰もいないことをいいことに、ご機嫌に、小走りで奥の方へと向かった。



向かっている途中、可愛らしい表紙に惹かれて、思わずピタリと足を止める。



「か、かわいぃ〜」