「まだそんなに読んでないから分からないけど、表紙が綺麗だなぁって思った」
「そうよね~、先生も思ってた」
私はクッキーを手に取り、サクッとかじる。
…ん~
「これおいしい!」
本当にすごく美味しくて、少し興奮ぎみにそう言うと、先生は自慢気に言った。
「でしょ~~」
「あははっ…なんか先生がこのクッキー作ったみたい」
ふたりで顔を見合わせて笑った。
学校であった嫌なことを忘れるくらい、朝美先生といると楽しい。
たくさん話をしていると、窓の外はもうすっかり真っ暗になっていた。
「優ちゃん、気を付けてね」
暗くなると、先生はいつもそう言う。
「誘拐とかされないでね、可愛いんだから」
「あっ、防犯ブザー持っていく?!」
先生が早口で言うから、思わずふっと笑ってしまった。
「ふっ…先生いつも心配しすぎ、でもありがとう」
私はそう言って先生に手を振った。
まだ心配そうに私を見つめる先生に、また笑ってしまった。
…ほんと、心配性だなぁ