何もしなくても時間は過ぎていく。
11月後半になった今も、いつものように図書室へと向かいながら、はぁと小さく息をはいた。
いたるところにある窓は、温度の差に耐えられなくて湿っている。
それをボーッと眺めながら歩いていると、友達と笑い合いながら歩く晴日くんの姿が見えた。
思わず足を止めたくなる。
ずっと、見ていたくなる。
その無邪気な笑顔を、見つめていたい。
私は視線をそらした。
心と行動が正反対のことをしているせいで、ときどき胸が痛くなるけれど、最近は少し慣れてきたと思う。
晴日くんに恋をしているんだと知ってからも、私は変わらず晴日くんから視線をそらし続けている。
自分の気持ちを知ったところで、晴日くんには関係のないことだから。
迷惑をかけないようにする。
それが私にできる、たったひとつのこと。