静かだった図書室に、大きな電話の音が響いて、先生は席を立った。
「はい、朝美です。――――」
先生が誰かと電話している。
けれど話の内容は頭に入ってこなかった。
まだ自分の気持ちに戸惑いを隠せずにいる。
思わず顔を両手で覆った。
「………」
朝美先生の話を聞いてもまだ、この気持ちを恋情と呼んでいいのか分からない。
でもずっと苦しくなっていく心は、どんどん晴日くんを求めていて、
ほんとうは……もっと近づきたかった
――憧れじゃ足りない
気持ち悪いって分かってる。
でも、この気持ちは止まってはくれなくて、どんどん膨らんでいくばかり。
私なんかが、おこがましいって思うのに、もっと近づきたいと思ってしまう。
わたしはずっと探していたのかもしれない。
あの恋愛漫画を読んで、こんなにも胸が苦しかったのは、続きが気になっていたのは、
わたしが、恋をしていたから。
恋だと認めたくなかったのは、
望まれないと分かっているのに想い続けることが、きっと――怖かったんだ。
「………気づきたくなかった…」



