_カタン


「はい、どうぞ」


先生は可愛らしいコップを、私の前に置いてくれた。


ホカホカとゆげが出ている中身を鼻に近づけてみると、珈琲のいい匂いがする。


…いい匂い…


「先生ありがとう」


私がお礼を言うと、先生は優しい笑顔で笑ってくれた。


「いいえ」



私が飲んだのを確認すると、先生はふーっと珈琲を冷ましてから飲み始めた。



長い綺麗な茶色の髪を、片手で耳にかけて珈琲を飲む先生は、


なんだかとても綺麗で、思わず見とれてしまう。



…大人っぽい…



先生はクッキーの袋を開けると、私の方に寄せてくれた。


「このクッキー先生好きなの!」


もぐもぐしながら喋る先生に、私はふっと思わず笑ってしまう。


…中身は子供っぽい…



この時間が楽しい。


…私の大好きな時間。



先生がいるから、私は学校に行ってるようなものだもん。



「それ、どう?気に入った?」


先生はクッキーを片手に、さっきの漫画を見つめてそう言った。