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「…金魚さん…おはよぉ…ふぁ…」
「今日はちょっと眠いよ」
昨日は全然眠れなくて、気がついたら朝になっていた。
だって…
昨日のことを思い出して、両手で顔を覆う。
「だってわたし…晴日くんと会話したんだよっ…晴日くんがわたしの名前を〜〜…」
ずっとこれの繰り返しだ。
朝はいつも憂鬱な気持ちでいっぱいなのに、今日はいつもとは違う。
心が慌ただしい。
わたしと違って、金魚さんはいつも通りだ。
「ふふっ…朝はいつもボーッとしてるね」
でもご飯をあげると、一生懸命に食べる。
金魚さんはえらいね。
わたしは晴日くんとのことを思い出して、朝ごはんは全然食べれなかった。
ちょっとのことでこうなっちゃうから、だめだなぁ…わたし
「金魚さん、行ってくるね!」
いつもより明るくて大きな声が出た。
金魚さんは頭を少しだけ水面から出して、こちらをじっと見つめていた。