私は本をパタリと閉じると、机に顔を伏せてみた。



放課後の図書室。


校舎はシーンとしていて、私だけがこの学校にいるみたい。



でも耳をすませば聞こえてくる。


部活をしている人達の元気な声。

小さな足音。

笑い声。



この学校に私がいなくなったって、

きっと誰も悲しまない。



私はいつでも独りだから。



「…はぁ…いいもん、私には朝美先生がいるから」


私は机に顔を伏せながら、そう呟いてみる。



目を開けても真っ暗。



「優ちゃん~~」


_ビクッ


「は、はいっ」


私は机に伏せていた顔を、勢いよく上げた。



「これ、一緒に食べない?」


顔を上げると、先生はクッキーを片手に、無邪気に笑ってそう言った。


「食べる~」


私がそう言うと、先生は嬉しそうにこっちへ歩いてきて、クッキーを机の上に置いた。


「ちょっと、待っててね」