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「晃くんには彼女がいるって分かってるのに、大好きで…大好きで、どうしようもない気持ち…かぁ…」


空がオレンジ色に染まる頃。

いつものように図書室で本を読んでいると、朝美先生が私の手元を覗き込んできた。



「どこまで読んだの?」

「5巻」


「…ふ〜ん…なぁに、珍しいね?優ちゃんがそんなに漫画気に入るの」

「てっきりすぐ飽きるかと思ったら、先生が紹介してからずっと読んでるからびっくりしちゃった」


朝美先生は嬉しそうに、ふふっと笑った。

…なんでそんなに嬉しそうなんだろう?


不思議に思いながらも、先生の質問に答える。


「読み始めると、続きが気になるから…?」


自分で言っておきながら、語尾が疑問形になってしまったことに、もやっとした。


……なんで私、もやっとしたんだろう?


考えれば考えるほど、分からなくなっていく。

だから考えるのは止めた。