家から学校が近いから、私はいつも歩いて学校に登校している。


だからこういう小さな発見ができて楽しい。



周りを見渡せば、腕時計を見ながら走っている人や、電話で何度も謝りながら歩いている人がいて、どんな人も毎日一生懸命生きているんだって思う。



その人たちの耳にはきっと、

鳥の鳴き声なんて聞こえていない。



どうして世界はこんなにも忙しいんだろう。



冷たい風がビュンと吹いて、スカートや髪を揺らした。


今日も人工池の前に立ち止まって、静かにしゃがんだ。



「金魚さん、おはよう」


水面に金魚さん用のご飯少し浮かばせて、それからすぐに立ち上がる。


「…いってきます」


朝は遅刻しちゃうから、そんなに長くはここにはいられない。



金魚さんは口をパクパクさせた。


「ふふ…またね」


今日もまた、金魚さんが「いってらっしゃい」と言ってくれているような気がして、ふっと微笑んだ。