メロンパンを食べ終えると、袋をスクールバックのポケットの中にしまった。


そしてバックの中にある本を取り出して、朝美先生から貰ったしおりが挟んであるページまでめくる。



ご飯を食べ終わった後は、ここで本を読んで過ごす。


これもいつものことだった。



図書室も開いてるんだけど、お昼休みは人が多いから行かない。



私が手に持っているのは、この前、図書室で読んだ恋愛漫画。


普段なら小説ばかり読んでいて、先生から漫画を進められても読まないことが多いくらいなのに、この恋愛漫画だけは…なんとなく続きが気になってしまう。



もうすでに1巻は読み終えていて、このお昼休みに読むために2巻を借りた。


「好き」と題名が書かれた、2巻の表紙をまじまじと観察していると、あることに気がついた。



…また花を持ってる



1巻の表紙でも、ヒロインの海砂(みさ)ちゃんが花を持っていた。


たしか……黄色のチューリップ



私が今もっている2巻でも、なにかの花を手に持っていた。


これがなんの花なのかは分からなかった。


チューリップくらいは知ってるけど、この花は見たことない。



不思議に思いながらも本を開いて、静かなベランダで一人、黙々とページをめくっていく。