アリスは、棒付き飴を口に入れ、街を歩く。

「……君、可愛いね!」

不意に後ろから声をかけられ、アリスは後ろを振り向く。そこには、ピアスを付けた男性がアリスを見てニタニタ笑った。アリスは、無言で男性を睨む。

「そんな顔をしないで。ほら、俺と一緒にどこか行こうよ」

強引にアリスの腕を引っ張る。アリスは、杖先を男性に向けて呪文を唱えた。

「ソルプレーサっ!!」

男性の服は、ツギハギだらけのみずぼらしい服に変わり、ピアスも消えている。男性は、アリスの腕を放して自分の姿を確認した。

「……良く間違われるから先に言っておく。僕、男の子だよ?」

そう吐き捨て、アリスは近くの家のインターホンを鳴らした。少し待つと、ドアが開き、女性が顔を出す。

「Trick or Treat!」

アリスが手を差し出すと、女性は「待ってて」とアリスに伝え、家の中に入っていった。少しアリスが待っていると、女性が現れ、アリスにお菓子を渡す。

「ありがとうございます」

アリスは、女性に頭を下げると歩き始めた。