皆と別れ、美影はフラフラと街を歩く。そして、街を歩く男性に声をかけた。

「Trick or Treat!」

美影がそう言うと、男性は微笑んで「どうぞ」と美影にお菓子を渡す。美影は「ありがと」とはにかんだ。

男性と別れ、美影は男性からもらった飴を口に含む。飴の甘さが美影の口に広がり、美影は頬を赤くした。数分で美影の口に入っている飴は消えていく。

「……ん?」

喧騒が聞こえ、美影はふと足を止め、その場で浮遊魔法を使って空を飛ぶ。人集りの中心には、地面に座り込んで泣く女の子と怒髪天を衝いた男の子がいた。

美影は、そっと地面に降りると近くにいる人に何があったのか問いかける。

「……女の子がお菓子を要求したら、男の子が断って、女の子がイタズラをしたら怒り出したって感じだよ」

その話を聞いた美影は、移動魔法を使って女の子と男の子の間に入り込んだ。

「誰だよ!お前はっ!邪魔だ、退けっ!!」

相当苛立っている男の子は、美影を睨みつける。美影は、それに怖気付くことなく目を細め、男の子を見た。

「ソルプレーサ」

美影が呪文を唱えると、男の子はかぼちゃに姿を変える。

「お前なっ!何すんだよ!戻せっ!!」

かぼちゃの中から男の子の声が聞こえるが、美影は苛立ちのあまりに「今日は何の日だ?」と声を低くして言った。