ルカは、街をフラフラと歩く。魔法使いではないのに、魔法使いの仮装をしているもの、吸血鬼やフランケンの格好をしているものも居る。

「Trick or Treat!」

ルカは、かぼちゃの刺繍が施された服を着て、かぼちゃのカチューシャを付けた女の子に話しかけられた。

「両手出して?」

ルカが微笑むと、女の子は目を輝かせながら両手を出す。ルカは、杖先を女の子に出した。

「レガーロ!」

ルカが呪文を唱えると、女の子の手の中にたくさんのお菓子が現れる。女の子は、一瞬だけ驚いた顔を見せると「ありがとう」と柔らかく微笑んだ。

ルカは、杖を手で器用に回して「どういたしまして」と微笑み返した。

女の子と別れたルカは、とある家の前で立ち止まる。

「……今からするから見ててね」

美影たちの気配がする方を向き、小声で言ったルカは、敷地内に入ると静かに呪文を唱えた。

「ソルプレーサ」

ドンッと音がし、庭にジャック・オ・ランタンが現れる。煌々と輝くジャック・オ・ランタンを見つけた男の子は、窓から飛び出した。

「……Trick or Treat。お菓子をくれたら、魔法を解きます」