「あっ、席空いてる」
駅に着いて電車に乗り込むと、席が空いていたため煌哉と隣り合わせで腰を下ろす。
「今日は疲れたなぁ」
心身ともに疲れた私は、思わず声に出してしまう。
「早く寝ないからだろ」
「睡眠不足が原因じゃないよ」
私が疲れた原因が煌哉にもあるということを、自覚していないようだ。
それでも今、普通に言葉を返してくれたのだから良しとしようか。
「他に原因なんてあるか?」
「煌哉のせいでもあるんだからね」
別に仲良くしろとは言わないけれど、周りにもわかるくらい敵対視する必要もないだろう。
もちろん煌哉だけでなく、水瀬くんも彼を敵対視しているようなのだけれど。
「元を辿れば千紗が悪いと思うけどな」
「えっ、どうして私?」
「千紗が鈍いから」
「鈍いって…褒められてないよね?」
「当たり前だろ」
ひ、ひどい。
直接私に悪口を言ってくるだなんて。



