「それが千紗だからいいんだよ」

「い、意味わかんない…!
この強引キス魔!浮気野郎ー!」

「千紗がキスしたくなるほどかわいいのが悪いと思うけど」


本人は一切反省なしに、額をくっつけてきた。


「……っ」
「ほら、またすぐ照れる」

「そんなの照れるに決まってる…よ」


好きな人が至近距離にいるって、どれほどドキドキしてたまらなくなるか。


「キスしていい?」
「ダメ、ここ外」

「外じゃなかったらいいんだ?」
「もう帰る、から…」


この強引なオオカミは、いつも自分のペースに持ってこようとしてくる。

まあ、まんまと流されるわけだけれど。


「千紗、俺たちやっと結ばれたのに」

あーもう、そんな甘い声で誘わないでほしい。
これには弱いようで。


黙り込んでしまった私を見て肯定と捉えた彼が、ゆっくりと近づいてくる。

それを受け入れるように私もそっと目を閉じた。