「正直になって、水瀬くん。
ちゃんと美織さんと向き合おうよ」
もう一度俯いた水瀬くんは、また耳に手をやってピアスに触れる。
「……夏原さんって似てるんだよね」
「えっ…」
「美織と似てる。だから初めて夏原さんを見た時、懐かしい気持ちになったんだ」
今度は顔を上げて、私を見つめる水瀬くん。
「底なしの明るさ、落ち込んだ顔ひとつ見たことない。でも危なっかしくて放っておけなかった。
そんな美織と夏原さんは似てる部分が多いなって。
だから夏原さんに近づいたんだろうね」
まるで無意識のうちに、とでも言いたげな口ぶりで。
「じゃあなおさら会わないと!
私じゃ美織さんの代わりになれないよ」
「……うん、そうだね」
「いつものクズ水瀬くんはどこにいったの!?」
こんな弱気になって。
私の前では散々クズな発言をしていたくせに。



