「俺が美織に会う資格、あると思う?」

けれど彼は首を縦に頷いてはくれない。
むしろ拒否している。


「どうして…?美織さんはどんな気持ちで水瀬くんに会いにきたかわかってるの?」

「また美織を傷つけるかもしれない」


いつにも増して弱気な彼。
私に対しては意地悪で強気なくせに。


「……水瀬くん」
「ダサいなって思った?」

「……ピアス、また落としたの?
右耳のほうついてないけど」


じっと水瀬くんを見つめてそう言えば、彼は焦った様子で右耳を触れた。

それからシルバーのピアスがあるのを確認すると、途端に安心したような表情へと変わる。


「……美織さんからのプレゼントだったんだね。それつけるために、ピアスの穴もあけたってことでしょ?」

「……っ」

「あんなに必死になって探してたもんね。今も忘れられないくせに一歩踏み出さない水瀬くん、最高にダサいよ」


少しきつめの言葉をぶつける。
こうでもしないと彼は勇気を出さなさそうだ。