「千紗って本当お人好しなんだな」
「迷惑、だったかな?」
「逆に救われてるとは思うけど」
迷惑だったかもしれないと心配していると、煌哉はフォローしてくれた上に頭をぽんぽんされる。
「俺も千紗に救われたうちのひとりだからわかる」
「本当…?」
私の言葉ひとつ、行動ひとつで誰かを救えることは不可能だけれど。
少しでもいいほうに転んでくれたら嬉しい。
煌哉も最後は自分で真面目になること、家族と向き合うことを選択したのだ。
私はきっかけを作ったに過ぎないだろう。
「でもまあ、ひとつだけ不満はある」
「えっ、嘘…何?」
煌哉が私に不満を抱いている?
身に覚えはないため、素直に聞き返すと───
「俺の知らないところで水瀬と色々あったこと」
「……っ」
彼もまた素直に不満の内容を口にしてきた。



